18-19 選手採点
- おしょう
- 2019年6月1日
- 読了時間: 12分
18-19でプレイした選手たちを上から目線で採点いたします。
ロビン・オルセン【採点/5.0】
【出場/35】【ゴール/-】【アシスト/-】
シーズン前のW杯でドイツ戦とイングランド戦以外の3試合を無失点で終えた、スウェーデン代表の守護神。この大舞台での活躍がローマに加入した背景にあるのは間違いないが、それ以前にローマのスカウトが満足に調査できていたのか、という疑問が残る。開幕からしばらくの間は(アリソンとの差を感じながらも)安定したセービングで最後尾を支えたが、失点の原因を生むことは滅多になくとも、責任がないとも言い切れないようなシーンは目についた(さほど威力のないシュートに手が届かないなど)。悪いことばかりでもなかったが、定位置を失うという結果が実力不足を物語る。
アントニオ・ミランテ【採点/6.0】
【出場/13】【ゴール/-】【アシスト/-】
控えゴールキーパーとしての立場を受け入れてローマのメンバーになった、経験豊富なナイスガイ。正守護神に何か問題が発生する場合に備えて張っておく予防線のような補強だったが、リーグ戦が終盤に差しかかると本当に出番がめぐってきた。セリエAで通算100回のクリーンシートを成し遂げた実績は伊達ではなく、シーズン中のレギュラー変更にも難なく対応してみせた。フル出場した13試合での失点数は9。数字だけでの評価するわけではないが、ロマニスタはこの好成績が偶然でないことを知っている。ノープロブレム。
コスタス・マノラス【採点/6.5】
【出場/35】【ゴール/2】【アシスト/1】
ディフェンスラインに綻びが生じやすかった今季は例年以上に失点が多く、かろうじて守備を成り立たせているような立場にあった。いつもより劣勢になる時間帯の長いシーズンだったため、右隣ではフロレンツィの空中戦、左隣ではファシオのスピード勝負といった弱点を突かれる機会も増していて、それらの尻ぬぐいをしなければならない苦労人になってしまった。ローマでの5年目を終えて28歳になるマノラスに残された伸びしろは少ないが、良い意味で毎年不変のプレイを継続する彼の活躍が来季もローマで続くことを願う。
フェデリコ・ファシオ【採点/6.0】
【出場/42】【ゴール/5】【アシスト/-】
2016年の加入以降、最悪のシーズンを送った。もともと不安視されていた地上戦で、スピードや敏捷性に秀でたアタッカーに悩まされる試合が続いた。ポゼッションが相手に移る頻度の高さが影響したのか、相手チームは明確にローマの弱点を突こうとする余裕があるような状態にあり、その標的にされた格好だ。それでも、ボールを丁寧に扱えるという長所が彼をレギュラーポジションに留めさせた。空中戦の強さとキックの上手さを5得点という結果につなげることにも成功した。ラニエリ就任後は調子を取り戻しており、最低限の面目は保ったと評価してもいいだろう。
フアン・ジェズス【採点/6.0】
【出場/24】【ゴール/1】【アシスト/-】
大部分の選手が苦しんだ1年間だったが、この人は平常、普通、期待通りだった。あくまでも控えの選手として考えれば満足にやっていたが、「良くも悪くも」といったところだ。この3年間におけるリーグ戦での出場数は20→22→20と、数字は横ばい。変わったことといえば、1得点を記録したことくらいだろうか。しかし、こういうディフェンダーが一人いることには価値がある。フアン・ジェズスの場合は左サイドに対応することもできるし、有事に右サイドを任されたこともあった。ファシオの不調時に定位置を奪取できなかったところに限界を感じたが…。
イヴァン・マルカノ【採点/5.0】
【出場/13】【ゴール/1】【アシスト/-】
左利きのセンターバックとして新たに入団したベテラン。ファシオに頼らざるをえないビルドアップを強化することもチームに期待されていたのであろう。ポジションがフアン・ジェズスと被っているが、左サイドバックで起用された際にはセンターバックらしからぬ器用な一面を覗かせ、ポジション争いのライバルと区別して起用するメリットがあることを示した。しかし、基本的にはコラロフに代わってサイドバックを務める意味はなく、本職の中央ではファシオやフアン・ジェズスに後れをとった。ちなみに、チームで唯一すべての試合でベンチ入りを果たした選手だ。
アレッサンドロ・フロレンツィ【採点/6.0】
【出場/38】【ゴール/3】【アシスト/3】
今シーズンも右サイドバックとして立派にレギュラーの座を守ったが、これまでよりも守備の機会が多い分、ウィークポイントが露わになった。フィジカル的な勝負で不利になるのは仕方ないが、すっかりサイドバックの選手になった以上、「本職はウィングや中盤だから」という弁解が通用しにくくなっているのも事実だ。押し込まれる展開では攻撃参加の迫力もせいぜい及第点程度で、アグレッシブなスタイルが表面的には目立たなかった。新たなカピターノになる翌シーズンは、真価の問われる重要なポイントになる。彼のキャプテン像を示せるか。ますます応援したい選手だ。
リック・カルスドルプ【採点/5.5】
【出場/14】【ゴール/-】【アシスト/-】
昨季の大怪我からは復帰したものの、相変わらずフィジカル面のコンディションが安定せず、ディフェンス陣のなかで出場時間が最も短かった。幅広くカバーしようとする気概を感じさせる守備にも、しっかりとした基礎的な技術をもつ攻撃にも、自信をもって挑戦する姿勢が見受けられた。それでも、フロレンツィを追い越すには不十分だ。ユーティリティ性のあるフロレンツィやサントンとは違い、今のカルスドルプには右サイドバックでしかチャンスがない。平凡なバックアッパーにならないよう、パフォーマンスのレベルを上げなければならない。
ダビデ・サントン【採点/5.5】
【出場/21】【ゴール/-】【アシスト/2】
インテルがローマからナインゴランを獲得するために交換要員として差し出したサイドバック。もう一人のトレード要員だったザニオーロが飛躍したこともあって、付いてきたオマケというイメージはますます強くなった。ただ、両サイドをこなせる利便性には価値があるし、ある程度のテクニックとスピード感を兼備する攻撃面になら及第点を付けられる。しかし、フロレンツィとのレギュラー争いでは完敗、カルスドルプと比較しても序列はやや下だろう。左でもコラロフに敵う要素がなく、来季にはルカ・ペッレグリーニにも後れをとりかねない。
アレクサンダル・コラロフ【採点/6.5】
【出場/43】【ゴール/9】【アシスト/2】
昨年と同様に、ほとんど一人でローマの左サイドバックを任された。守備面の問題が山積したローマのなかでコラロフは大きな穴にならず、PKも含めたリーグ戦での8得点を記録したオフェンス時の貢献度も高い。しかし、その一方では凡庸だった試合も少なくなく、手放しで賞賛できる出来ではなかったという事実もある。ゴール数の増加とは反対にアシスト数は激減しており、昨季6回も届けたジェコ弾のアシストは今季わずかに1回となった。エリア内にターゲットが少ないという事情もあるが、得意のクロスは失敗も目立った。
ダニエレ・デ・ロッシ【採点/6.0】+【100.0】
【出場/23】【ゴール/2】【アシスト/1】
試合に出たのは全体の半分以下の時間に留まったが、出場時のパフォーマンスはチーム内でもトップクラスといえるほどに優れていた。ピンチの芽を摘みとる守備的ミッドフィルダーでありながら、堅実なパスのつなぎ役であり、中盤でのビルドアップを一手に担い、ときにはラストパスを配球するチャンスメイカーでもあった。フィジカル的な理由で使い勝手のいい選手ではないだろうが、ピッチ上では錆つきがない。これほどの偉大な選手が退団するのは悲しいが、いつまでも悔やむのではなく、これまでのローマに捧げた18年間のキャリアに感謝したい。
ブライアン・クリスタンテ【採点/6.0】
【出場/44】【ゴール/4】【アシスト/3】
まるで持ち味を出せなかった序盤の頃に比べれば、中盤以降にはかなり改善されていた。二列目や三列目から敵陣エリア付近に進入する選手が不足しがちな今季のローマにとっては、重要な役回りとなった。威力のあるミドルシュートを枠内に飛ばすことも得意で、左足でもあまり精度が落ちない。コーナーキックでは長身の選手に混じって相手に脅威を与えた。しかし、どれもが散発的であり、前線に顔を出して攻撃に厚みを与えるチャンスの少ない試合では存在感が薄れた。今季はチームで最も多くの試合に出た選手であり、怪我人の多いチームにおいて健康体を保ったことは助けになった。
スティーヴン・エンゾンジ【採点/6.0】
【出場/39】【ゴール/1】【アシスト/2】
世界王者の一員としてローマに加入した期待の新戦力。その期待に応えたとはいいがたいが、最低限の任務を遂行しており、貢献度は低くない。離脱の多いデ・ロッシ以外にディフェンシブに振る舞える中盤の選手がエンゾンジの他にいないため、重宝された。空中戦はセリエAのミッドフィルダーのなかでも屈指の勝率を誇り、静的にディフェンスをしながら堅実にパスをつないだ。しかし、ピッチを広く使うようなビルドアップ、あるいは自身と攻撃陣とをつなぎ合わせる楔のパスを繰り出す頻度の低さが難点であり、デ・ロッシの後継者と呼べるようなタイプではない。
ロレンツォ・ペッレグリーニ【採点/6.0】
【出場/33】【ゴール/3】【アシスト/7】
何をするにも中途半端だった昨シーズンよりは飛躍的に向上した。きっかけは第7節のローマダービー。負傷で途中交代したパストーレに代わってトップ下のポジションを担うと、水を得た魚のように躍動して3得点すべてに絡んだ。守備的なタスクを与えにくいという理由もあるが、前線の選手を操るチャンスメイカーという適役を発見できたのは収穫だ。しかし、その2ヶ月後に負傷で離脱すると勢いが止まり、同ポジションのザニオーロが台頭したことで、せっかくの天職を失って再びポジションを一列後ろに下げる試合も多かった。
ハビエル・パストーレ【採点/5.5】
【出場/17】【ゴール/4】【アシスト/1】
もちろん負傷していた期間が長すぎたのは残念だが、試合に出れば何かしらの成果を出すことが多かった。たったの4得点ではあるが出場時間の短さを“言い訳”にすれば悪い数字ではないし、観客を魅了するようなプレイも一度や二度ではなかった。しかし、ディ・フランチェスコにせよラニエリにせよ、積極的に彼を起用しようとする意思がないようだった。守備面か体力面か、いずれにせよ先発起用を渋る明確な理由があったのだろう。ペッレグリーニやザニオーロの出場チャンスを減らしてまで使いたい戦力か、という意味合いでも不足感があった。
ニコロ・ザニオーロ【採点/6.5】
【出場/36】【ゴール/6】【アシスト/2】
不調のローマにとって、今季最大級の嬉しいサプライズ。チャンピオンズ・リーグのレアル・マドリー戦で初先発したときには何もできなかったが、それから短期間で見事に成長した。第11節のフィオレンティーナ戦に出場してからは、出場停止期間中と最終節以外ではすべての試合でフィールドに立った。若手にありがちな線の細さがなく強靱で、若手にありがちな無鉄砲な性質も程よく制御されている大人びたプレイが印象的だ。バランスをとれているが強烈な武器もある、そんな理想的な選手になれるかもしれない。課題はロレンツォ・ペッレグリーニとの共存方法か。
ジェンギズ・ウンデル【採点/6.0】
【出場/33】【ゴール/6】【アシスト/11】
2ヶ月間を棒に振る怪我を負ったのが1月中旬だったが、それまでの24試合で15得点に絡む(ゴールかアシストをする)活躍を披露した。昨シーズンのブレイクが偶然でないことを証明しただけでなく、昨季一度たりとも果たせなかったフル出場も問題なくこなせるようになり、本格的にトップレベルで戦える選手に変貌する最中だった。ただ、負傷から復帰した後の10試合中、ユベントス戦でのダメ押し弾と最終節での決勝点でしか得点に絡んでおらず、ラニエリには重要視されずに苦しんだ。ザニオーロの右ウィング起用も奏功しておらず、必要な戦力のはずだが…。
ステファン・エル・シャーラウィ【採点/7.0】
【出場/33】【ゴール/11】【アシスト/7】
18-19におけるローマの有力な最優秀選手候補。ポジション争いでいつも少しだけリードしていたペロッティが負傷しているうちに、完全に主力級の地位を手にした。欠場した試合を含まなければ、3試合以上連続でゴールに関与できなかったことは一度しかない(最後の3試合)。今までも「出場時間のわりには得点に絡んでいる」という状態だったが、ようやく望んでいたシチュエーションを掴み取った。左サイドに寄った斜めからのシュート精度が高いのは相変わらずだが、第二のストライカー然としたスタイルが、他のウィンガーと差をつける最大の強みだった。
ジャスティン・クライファート【採点/5.5】
【出場/35】【ゴール/2】【アシスト/8】
ザニオーロとは異なり、初めから戦力として見込まれてローマにやってきた将来有望株。思うようにいかないシーズンだったという総評にはなるが、明確なストロングポイントを示した点は高く評価するべきだ。数字として残る成果、とりわけ得点力に関しては不満が残るものの、多くの対戦相手にはドリブルが通用しており、サイドでも中央でも敵陣を切り裂いた。ポジションは左と右の両方で使われていたが、ドリブル突破という点では、直線的に走力を活かせる右サイドの方がうまくいく。一方で、左ウィングの方がプレイの選択肢は広がるようだ。
ディエゴ・ペロッティ【採点/5.5】
【出場/15】【ゴール/5】【アシスト/1】
ライバルのエル・シャーラウィとは逆で、加入以降で明らかに最も苦労したシーズンとなった。昨季から増加傾向にあった負傷での離脱がさらに増え、リーグの前半19試合では4回しか出場機会がないという有り様だった。とはいえ、ディ・フランチェスコからラニエリに監督が代わる頃に何度目かの復帰を果たすと、3試合連続ゴールなどの結果を出した。ペロッティが今季唯一まともな戦力だったときはチーム状況が最も沈んでいた時期だったが、チャンピオンズ・リーグで敗退したポルト戦での活躍に代表されるような、ロマニスタにわずかな希望を残したプレイヤーだった。
エディン・ジェコ【採点/6.0】
【出場/40】【ゴール/14】【アシスト/11】
チャンピオンズ・リーグのグループステージで得点を量産したシーズン前半戦ではセリエAで沈黙が続いた。6試合で5得点を決めたCLでの数字に対して、後半戦で少々復調したとはいえ、32試合で9得点に終わったリーグ戦での成績が寂しい。周りのサポートが不十分だったことを無視するべきではないが、ジェコ自身のプレイも精度を欠いた。前線の基点としてボールを一旦おさめても、直後のシーンで失敗が目についた。加入1年目を想起させるようなミスがありながらも得点・アシストをともに二桁に乗せたことで、なんとかエースとしての矜持は保たれただろうか。
パトリック・シック【採点/5.0】
【出場/32】【ゴール/5】【アシスト/3】
2年目の覚醒は叶わなかった。1年目よりも質を下げたわけではないが、これといった進歩もなく、いよいよローマで生きる道が絶たれつつある。センターに固定された時期もあったが実を結ばず、結局のところ右サイドや二列目で試されるあたりは昨季と大差ないシックのパフォーマンスを象徴するかのようだった。ラニエリ監督の初陣で沈めたゴールも次につながらず、終盤になって出番も減った。おそらくラニエリと交代するであろう新監督は、シックをどう評価するだろうか。ローマで3年目の選手が開花した前例は思い当たらないが…?
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