21-22 選手採点
- おしょう
- 2022年5月29日
- 読了時間: 10分
ルイ・パトリシオ【採点:6.5】
【54試合】【-得点】【-アシスト】
アリソンの退団以降は多少なりともGKの質に悩まされたローマだったが、今季は信頼に足る守護神がゴールマウスを守った。パウ・ロペスに比べると古典的なタイプで、味方にパスをつなぐことに固執せず、ペナルティエリア外に飛び出す頻度も低い。その一方で、肝心のセーブ率ではその前任者を上回っており、キャッチングやパンチングのミスもなかった。コーナーキックでの直接シュート、ディフレクションによる軌道の変化といった、イレギュラーな事態に対応しきれなかった失点シーンは数少ないネガティブ要素。
ロジェール・イバニェス【採点:6.5】
【51試合】【4得点】【-アシスト】
今季戦ってきた51試合中の46試合がフル出場と、かなりの稼働を強いられた。出場停止か怪我による一時的な離脱は若干あったが、ECLと国内杯では全試合に出場しており、ほぼ休息のない1年を過ごしたことがわかる。CB陣の中では平均タッチ数が最多で、ドリブルで運ぶ頻度が最も高く、得点力も発揮したほか、とくにシーズン序盤では試合の途中からサイドバックを担うなど、多様な活躍を疲労した。優れたスピードとスライディングの技術を活かし、ギリギリの攻防をしていても相手選手のボールに触れることができる選手。
クリス・スモーリング【採点:7.0】
【38試合】【4得点】【-アシスト】
開幕時と10~11月ごろにハムストリングの負傷でチームを離れており、シーズン全体での出場率は7割を切った。一方で、冬以降のパフォーマンスは完璧に近く、ラツィオやアタランタ、ナポリ、レスターといった難敵との対戦では圧倒的な存在感で相手のエースを封じ込め続けている。デュエルの勝率がもはや異常であり、空中戦(79%)と地上戦(75%)の両面で優れている点もポイントだ。また、クリーンで正確な対人守備も特長で、ファウルは3試合に1回程度。ECLの決勝戦ではマン・オブ・ザ・マッチに輝いた。
ジャンルカ・マンチーニ【採点:6.5】
【46試合】【1得点】【1アシスト】
3季目も不動のレギュラーとして立派に戦い抜いた。(安全策を最優先するスモーリングほどではないが)ボールロストが少なく、さらに対峙する相手アタッカーに対して後手に回るケースが少ない印象で、良い意味で無難に守ったといえる。また、キックを武器に攻撃に関与する姿勢はCB陣の中でもとくに顕著であり、それが実を結んだ得点はローマを14年ぶりのタイトル獲得に導いた。なお、カード収集癖は相変わらずどころか悪化する一方で、セリエAでもECLでも全選手中の最多枚数を記録。出場停止数は2年連続で6試合となった。
マラシュ・クンブラ【採点:6.0】
【28試合】【1得点】【-アシスト】
特筆するような強みがあったとはいいがたいが、実力不足を感じさせた昨シーズンよりはかなり向上している。秋ごろはスモーリング、2月はイバニェス、出場停止でときおり不在になるマンチーニが抜けた穴を埋め、優先的に起用されたECLではチームを8強に連れていく存在の一人だった(準々決勝以降は出番が減った)。とはいえ、レギュラーの3人と比較したうえで優れているといえる要素を欠き、序列は四番手のままだ。なお、まともな出場機会があった選手の中では、出場時の平均獲得勝ち点がチーム内で最多。
リック・カルスドルプ【採点:6.5】
【51試合】【-得点】【7アシスト】
主力選手に上り詰めた昨季を経て、モウリーニョの下でも安定成長を続けた。データ上でも長所はしっかりと伸びており、重要なスタッツはおおむね前年超え。2季連続で高水準を保ったアシスト数に関しては、ローマのサイドバックとしては前例がないレベルだ(少なくとも記録が残っている範囲では)。自陣の低い位置でボールを保持した際の、相手のプレスをうまく回避する技術も備わり、安定性にも問題はない。最初の2年間で15試合にしか出られなかった若手は、直近2季で96戦を走り抜く中堅に成長。
マティアス・ビーニャ【採点:5.5】
【37試合】【-得点】【2アシスト】
手薄だった左サイドバックのレギュラー格として迎え入れられた新戦力。1月末までのセリエAでは、4回の負傷欠場を除いてすべての試合で出番を得ており、そのほとんどで先発メンバーに名を連ねている。ところが、システム変更やメイトランド=ナイルズの加入、ザレフスキの台頭、スピナッツォーラの復帰と、あらゆる事象がビーニャの序列を下げさせた。なお、序盤に散見された1対1での弱さは改善され、守備のスタッツでは大半の項目でカルスドルプを上回った。攻撃面がポジション争いで後れをとった要因となったとみられる。
エインズリー・メイトランド=ナイルズ【採点:5.0】
【12試合】【-得点】【-アシスト】
休息をとれていないカルスドルプのターンオーバー役として冬に獲得したが、その役割を満足に果たすことはできなかった。リーグ戦においては、加入直後に6試合連続で出番を与えられたが、そのあとの12試合で出場は2試合のみ。3-4-2-1の「4」で全域に対応できる利便性も、有効活用されたとはいえないだろう。スタッツをみると、単独突破はカルスドルプよりも多いが、それ以外では軒並み劣る。計算の立たない選手ではなかったが、平凡な出来に終始した感は否めない。
ニコラ・ザレフスキ【採点:6.5】
【24試合】【-得点】【2アシスト】
急上昇株。昨季もピッチに立ったが、今シーズンの途中から本格的に戦力として扱われ、一気に地位を高めた。敵陣の深い位置で対峙するDFを抜くドリブルも、追走する相手選手から逃げるために運ぶドリブルも、すでにハイレベル。ペナルティエリアに走り込む味方にワイドな位置から通すスルーパスでもチームに貢献した。また、相手のアタッカーにとっては狙い目となった試合もあるが、ローマダービーではディフェンスでも奮闘。来季の起用法は、今後のローマを占うには間違いなく注目ポイントとなるだろう。
ブライアン・クリスタンテ【採点:6.5】
【50試合】【3得点】【2アシスト】
相変わらずの稼働率で50試合に出場しており、先発すれば大抵はフルタイムを戦った。過去2シーズンはCBでのプレーも少なくなかったが、今季はようやく中盤に固定。プレーに多く絡んではいるがシンプルでテンポの良いパスワークの構築にこだわらず、フォワードに直接届けたり、サイドを変えたりするための中長距離パスを多用する点が特徴だ。シーズン中盤にやや不調だったため来夏の退団も噂されたが、信頼を取り戻したことで沈静化。チームの主役ではなかったが、重要なピースの一つだった。
ジョルダン・ヴェレトゥ【採点:6.0】
【50試合】【4得点】【10アシスト】
9月末の時点で4得点・3アシストを記録しており、出だしはバツグン。ダブルボランチの一角として、積極的な攻撃参加で多くのチャンスシーンに関与した。1月以降はオリベイラの加入で明らかに序列を下げたが、他選手との差別化を図れるため単純な下位互換になってはいない。リーグ戦では出場停止とコロナ感染中以外のすべてで出場しており、高いキック精度でアシスト数は順調に増加。5月は過密日程の影響で多めに先発して、チームの成績は振るわなかったが、自身のパフォーマンスは悪くなかった。
セルジオ・オリベイラ【採点:6.0】
【22試合】【3得点】【1アシスト】
モウリーニョがディアワラやビジャール、ダルボエに出番を与えなくなったために戦力不足となったMFは、オリベイラの登場で層の薄さが改善された。得点への関与で貢献したのは最初だけだったが、基本的にはレギュラー格としての信頼を勝ち取ったといえる。クリスタンテの負担を減らす点でいえばヴェレトゥよりも適性があり、たしかな技術を活かして正確にボールを扱いつつ、ポジションを守りながら攻守で役割を果たした印象だ。ボール回収、地上戦勝率でクリスタンテとヴェレトゥを上回っている。
ロレンツォ・ペッレグリーニ【採点:7.5】
【41試合】【14得点】【8アシスト】
ローマでの歩みを再開した17-18当時はまだ頼りない存在にすぎなかったが、成長続きの年月を経て、必要不可欠なキャプテンに進化を遂げた。もともとチャンスメイカーとしてはリーグでも屈指だったところを、ドリブラーやフィニッシャーにもなれる万能アタッカーに変身。平均チャンスメイク数の水準は平年並みを維持しながら、フリーキックの上達もあって得点数では自己最多を達成した。走行距離も長く、使う側・使われる側の両面でプレーに携われるようになったことで活躍の幅を広げている。ECLでは最優秀選手に選出された。
ヘンリク・ムヒタリアン【採点:7.0】
【44試合】【5得点】【9アシスト】
影響力ではペッレグリーニやエイブラハムにも劣らない、完全なキープレーヤー。モウリーニョとの関係性が不安視されたのは過去の話で、たしかにシーズン序盤はサイド寄りのプレーを強いられたことで低調だったが、役割変更で息を吹き返した。アタッカー化が進むペッレグリーニに代わり、よりMF的な仕事が増加。システム上はクリスタンテの相方になることもあり、ピッチ中央でボールを運び、自陣に戻って相手のボールを奪い、チャンスシーンにも顔を出した。最終盤の負傷がなければ、ローマはもう一つ順位を上げたかもしれない。
カルレス・ペレス【採点:5.0】
【28試合】【3得点】【1アシスト】
先発出場が少ないとはいえ、28試合に出場して3得点・1アシストでは物足りない。そのうち2得点はECLのグループステージで記録したもので、セリエAでは昇格組のサレルニターナ戦でしか得点に直接関与できなかった。スコア上、勝ち点をもたらしたゴールは第32節での一撃だけだ。俊敏・繊細なプレーは魅力だが、それがポジション争いを有利にするほどのメリットをもたらしたとはいえないだろう。パス成功数・成功率の高さは数字に示されているが、FWとして褒め言葉になるのかは微妙なところ。
ニコロ・ザニオーロ【採点:6.0】
【42試合】【8得点】【6アシスト】
二度の大きな怪我を乗り越え、ほぼ健康体で走りきったことはポジティブな要素だ。ただし、独力で相手の守備陣形を切り崩す場面が目立った反面、活かすも活かされるも不得手であり、幅の狭さを露呈。チーム戦術としてある程度は妥協されているようだが、孤立気味に相手DFと単独の勝負を挑む場面が目についた。ドリブル成功数とファウル獲得数では群を抜くが、タッチ数の少なさに対してボールロストが多く、パスによるチャンス創出が少ない。ECLの決勝戦では大仕事をやってのけたが、リーグ戦では2得点と寂しい結果に。
ステファン・エル・シャーラウィ【採点:5.5】
【36試合】【7得点】【1アシスト】
出番が限定的だったとはいえ、昨季の苦戦を忘れさせる貢献度だったといえる。リーグ戦では3得点どまりだがすべてが途中出場からアディショナル・タイムに決めたゴールであり、期待された役割を果たすことには成功。また、ECLを含めても大半が先制弾・同点弾・逆転弾と、結果に直結するプレーでチームを救ってきた。得点ペースはエイブラハムに次ぐ成績だ。一方で、確実なシュート技術を除けば大きな武器を欠いており、ビハインドの状態でなければ起用する必要性が薄く、ターンオーバー要員を超える存在にはなれなかった。
タミー・エイブラハム【採点:7.5】
【53試合】【27得点】【5アシスト】
1年目にして27得点をゲット。過去60年間でこれよりも多く得点したのはトッティとジェコ(1回ずつ)だけだ。決定機でのミスは少なくないが、ストライカーとして立派にゴールを狙い続ける姿の方が目立ったのは間違いない。また、前任のジェコと比較すればチャンス演出は少ないものの、ポストプレーがよりスムーズだったほか、サイドに広がった際にはドリブル突破でも違いを生んだ。得点ペースに波がなく、コンスタントに得点を重ねた点も好印象。ミラン、ユベントス、ラツィオ、アタランタという強敵のゴールネットも揺らした。
エルドル・ショムロドフ【採点:5.5】
【40試合】【5得点】【6アシスト】
シーズン序盤には得点とアシストを順調に増やしたものの、アピールするための時間が減らされていき、徐々にトーンダウン。最初の3ヶ月間で7ゴールに直接かかわったが、あとの約6ヶ月間では3得点・1アシストにとどまった。それでも途中出場したときはまったく目立たないということが少なく、リード時もビハインド時も少しでも貢献度を高めようという姿勢が見受けられた。途中投入が多いため試合展開による影響はあるが、出場時間あたりの枠内シュート数、空中戦勝利数はチームトップに立つ。
フェリックス・アフェナ=ギャン【採点:5.0】
【22試合】【2得点】【-アシスト】
デビューしてから3試合目だった第13節のジェノア戦でドッピエッタを達成する衝撃を与えたが、ポジティブな試合はそれくらいだ。持ち前のスピードで相手DFを手こずらせたとはいえ、それが結果に結びつくことはなかった。少なくともトップリーグの次元ではドリブルが得意ということもなく、スタッツでも目立った項目はない。初出場以後はショムロドフやC・ペレスよりも出場時間を長く勝ち取ったが、貢献度は同等かそれ以下か。ただ、まだ10代のヤングスター候補としては貴重なシーズンになっただろう。
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