数字が示す本当のプレースタイル
- おしょう
- 2021年2月3日
- 読了時間: 6分
久しぶりのブログ。感覚的には3ヶ月ぶりだけど、実際は5ヶ月以上も投稿していなかった。これもツイート数回で片付けようと思っていたが、ブログを書かねばという義務感により、こちらに載せることにした。今回はシーズン別・個人別に90分平均のいろいろな数値を比較した。それでは、さっさと本題に移ろう。
※一定数以上の先発出場をした選手のみ。ただし、センターフォワードは人数不足により出場数の基準値を下げた。また、該当するポジションと異なる起用法だった試合に関しては、数値の算出時に対象から除外した。

【センターバック/守備】
まずはセンターバック編。タックルとインターセプト数を基にした散布図だ。今季のメンバーに注目してみると、イバニェスとマンチーニ、スモーリングは昨シーズンと比べて軒並み数字を伸ばしていることが分かる。プレーエリアの広いイバニェスとマンチーニは、特に高い数値を出した。なお、本来MFのクリスタンテは守備面のスタッツを見る限りでは苦戦している様子。こういった弱みはしっかりとデータに残る。
実際に共演したのはシーズンの30%程度だが、フアンとエインセのコンビが傑出している。このシーズンも含めて、4季連続でコンビの両者が優れた数字となった。この間、カスタンは2回登場している。
チームの強さ(守備機会の多さ)や起用法によって数字の伸びやすさに影響するようにも思えるが、好調時には世界の十指に入りそうなフアン、マルキーニョス、ベナティアが高い数字を残していることから、数字と優劣は単純に比例するといってもあながち間違いではなさそうだ。

【センターバック/パス】
CBからのパス供給に関して。パスの成功率が高いのは、フアン・ジェズス、スモーリング、ヤンガ=エムビワ、ブルディッソといった、長所が足下の技術…とはいいがたい選手たち。安全策をとる傾向にあるのだろう。それを裏づけるのがクリスタンテのパス成功率。ファシオにも似たようなところがあるが、キックの精度があるが故のビジョンと自信が数値を低くさせている。クリスタンテはパスの本数でも最多となっており、ディフェンス面の強度に少々の不安がある反面、総合的に良いか悪いかは別としても、最終ラインでの起用には確かな効果はあるようだ。
イバニェスは昨季よりも平均パス数を15回程度も増やし、マンチーニとともに供給源となっている。3CBの中央に入るクリスタンテとスモーリングの数字に開きがあるため、ポジションではなく人に依存する模様。

【サイドバック/攻撃時の貢献】
サイドバック(ウイングバック)の選手がクロスボールで攻撃に貢献するか、個人突破で貢献するか、という傾向の比較。今季のスピナッツォーラは、ここ10年のローマでもトップクラスのドリブル成功数となっている。唯一それを上回るのが16-17のブルーノ・ペレスだが、現在の彼にはそういった特性を見出すことができない。むしろ毎年確実に数値が下がり続けている。カルスドルプはどちらの項目でも低い位置にいるが、今季のアシスト4回はすべてクロスボールによって記録している。
長期間ローマのサイドを支えたフロレンツィとコラロフはクロッサー型。両者ともに、他の選手を寄せつけないクロス成功数を誇る。こうして並べてみると、その他にはめぼしいクロッサーがいないことが分かる。昨年ローマに戻ってきてからのブルーノ・ペレスは以前よりもドリブル突破が減り、ドリブラーかクロッサーかの二択に仕分けるとすれば、どちらかといえば後者となる。

【CMF/守備】
真っ先に分かるのは、デ・ロッシのインターセプト数が毎年必ず多いこと。ストロートマンとナインゴランのタックル数もだいたい高水準に達しており、この3人で構成された中盤の強度が高いことが窺える。ナインゴランの数字が徐々に落ちているのは、プレーエリアが加入当初よりも高いことが原因だと思われる(16-17にいたっては主戦場がもう一列前のため集計の対象外とした)。

【CMF/パス】
ロングボールを蹴る傾向の有無と、プレーに絡む(パスをする)頻度の話。こちらでも目立つのはデ・ロッシ。その一本でチャンスを創り出せるほどにロングボールの精度が高いことで知られるが、実際の成功数がそれを証明した。パスの総数でデ・ロッシに近い数字が出ているのはピャニッチやビジャールといった技巧派で、ショートパスの経由地点として機能している。
また、ケイタやストロートマンといったバランサーもショートパスの成功数が多く、とりわけ後者に関しては、14-15にデ・ロッシよりも優先的に起用される時期があったことも不思議ではないと想像できる。ペッレグリーニは左下に沈んでいるが、後述の数字も合わせて見る限り、ゲームメイカーというよりはチャンスメイカーが適正な役割だろう。

【セカンドアタッカー/チャンスメイク】
二列目の選手たちがパスとドリブルのどちらでチャンスを生み出すか、というデータだ。プレーの性質上、トッティはこちらに含めた。そのトッティは当然のように群を抜く。それに追随するのがペッレグリーニで、今季に関しては個人突破でも打開を試みている。一部で陸上部といわれていたサラーとジェルビーニョの位置には開きがある。サラーにはボールを持っていないときのスプリントが速い印象があり、おそらくはキーパスの多くをジェコに届けている。これに対して、ジェルビーニョは純粋なドリブラーといえる。
両項目で高次元なのはペロッティ。ローマでのラスト2年間は故障に苦しんだが、それまでの2年半で良質なチャンスメイカーだったのは間違いない。

【セカンドアタッカー/シュート】
再加入したエル・シャーラウィは、勘が良いのかセンスが良いのか、エリア内に侵入してシュートを打つところまでは誰よりも得意だ。前述のキーパスでもドリブルでも凡庸の域を出ずに完全な中心選手にはなっていないが、得点を取る能力には長けている。ドリブルについては、抜き去ることは少なくてもシュートを打てる状態にすることは可能で、そのようなスキルも発揮した18-19にはリーグ戦でジェコを上回るゴール数を記録した。ムヒタリアンと合わせての得点量産、あるいはハイクオリティなターンオーバーに期待がかかる。
左側に寄るクライファートやイトゥルベがエリア内にうまく入り込んでシュートに持ち込んだシーンは、たしかにあまり覚えがない(特に後者)。ここでも苦戦が見受けられる。

【ストライカー/ゴール】
センターフォワード編ではとにかくゴールに着目。たくさんシュートを打ってたくさんゴールとなったのは、得点王に輝いた16-17のジェコ。しかし、その他のシーズン以外では打っているわりに得点が決まらないというデータが残った。もしかすると、ジェコと同じ出場時間がカリニッチに与えられていたら、同程度かそれ以上のゴール数になっていたかもしれない。もちろん、それ以外の部分では彼が同じようにプレーするわけではないだろうが…。
まだシーズンが半分に達した時期のため他の評価対象者よりも有利な立場にあるが、マジョラルは非常に優れた位置にいる。ジェコに支えられ続けたローマの前線は、この男によって生まれ変わるときがくるのだろうか。
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