トッププレーヤー10【シーズン別】
- おしょう
- 2022年9月21日
- 読了時間: 7分
シーズンごとに区切る形で10人の最強プレイヤーを紹介する。いろいろな選手を登場させるため、1人の選手で複数回の選出はなし (結論からいうと15-16のナインゴラン、17-18のジェコあたりを除外している)。あまり昔のことは分からないため、09-10以降のシーズンから選ぶこととする。ただし、トッティとデ・ロッシは殿堂入り。
評価基準は、その選手の単純な活躍度・貢献度のほか、役割の重要性、替えの効かなさ、ビッグゲームでのパフォーマンス、チームの最終成績といった印象点も加味することとする。

10位
【15-16】ディエゴ・ペロッティ
冬に加入したため当該シーズンでプレーしたのは半分だが、大きな衝撃を与えていたことから10位に選出。当時はシーズン途中でガルシア監督が解任され、新加入のジェコは低調で、39歳のトッティをフル稼働させるわけにもいかない状況だった。そこで新たに就任したスパレッティ監督が改革に着手すると、「新・ゼロトップ」でチーム状況を上向かせた。
その中心、つまり偽9番を担ったのがペロッティ。サラーやエル・シャーラウィとのポジションチェンジ、ナインゴランの攻撃参加を促すスペースメイクなどで攻撃面を活性化させ、ドリブルでも同シーズンのセリエAで最多の成功数(90分平均)を記録するなど、個人技でも異彩を放った(出場時間が一定以上の選手が対象)。チャンスメイクでもトップクラスの数値を残しており、平均キーパス数がリーグ内でペロッティを超えるのは当時ローマのピャニッチと、当時ユベントスのディバラだけだった。

9位
【15-16】ミラレム・ピャニッチ
上記のペロッティと同じく15-16からチョイス。チーム状況に引っ張られるようにしてシーズン中盤こそはやや低調だったが、基本的には中心選手として責務を果たした。序盤はとにかくフリーキックが冴えわたり、シーズンの前半だけで5得点をゲット。当時は近年よりも得点に直接関与するチャンスメイカー寄りのプレースタイルで、決定機につながるパスでも目立った。
シーズンのちょうど折り返し地点で監督が変わるとポジションを下げ、デ・ロッシとともに中盤を支配するようになったが、それでもチャンスシーンに絡んだ際の精度は高次元を維持。パス数とチャンスメイク数はどちらもリーグ屈指の数となり、最終的には12ゴール・13アシストとMFとは思えないような結果も残した。

8位
【21-22】ロレンツォ・ペッレグリーニ
キャプテンとして1年間を戦い抜くという、フロレンツィとジェコが果たせなかった大役を務めた最初のシーズンで、チームの中心となってECL優勝に導き、同大会でMVPに輝いた。また、シーズン後にUEFAが発表した年間最優秀選手賞の候補に挙がり、第13位にランクインしている。
プレー内容としては、以前から担っていたチャンスメイカーの役割に加え、得点能力を向上させ、豊富な運動量でもチームを支えた。セットプレーの質が向上したことも成長を感じさせる要因の一つであり、直接フリーキックで3得点をマークしたほか、コーナーキックなどで3アシストも記録。キーパス数、ドリブル成功数、シュート数がいずれもハイレベルだった数少ない選手の一人で、あらゆる形でチャンスに絡んだ。

7位
【17-18】アレクサンダル・コラロフ
3年間在籍したうちのとくに最初のシーズンがピカイチで、2018年にセリエAのベストイレブンに選ばれている。一つ前のシーズンにエメルソン・パルミエリが負傷した状況で加入しており、その前任者が復帰を果たしたあともレギュラーポジションを渡さず、レフトバックの定位置を確保。グループステージで対戦したチェルシー相手に2試合で3得点に絡むなど、CLでのベスト4進出を支えた中心人物の一人で、同大会では32歳にして全試合でフル出場を果たした。
DFでありながら14ゴールに関与したように攻撃性能が非常に高く、このシーズンにおけるクロスの成功数はセリエAでも五指に入る(ほかの4選手は全員MFかFW)。ジェコがあげた16ゴール中の4得点は、コラロフのアシストから生まれたものだった。

6位
【16-17】モハメド・サラー
世界的な名手となったスターは、ローマ時代にはクラブ史上最多得点を達成した16-17に活躍。スプリント能力の高さを活かした個人での打開力に優れ、前年よりもゴールを狙う動きが増えた。また、ジェコとのコンビネーション(2選手間でのアシスト→ゴール)で計10得点を生み出している。
現在のサラーに比べれば物足りないかもしれないが、結果的には19得点・12アシストという素晴らしい数字を叩き出した。2010年以降のローマで直接得点に絡んだ数が30回を超えるのは、同シーズンのジェコ(合計49)、21-22のエイブラハム(合計32)、そして彼らに次ぐサラーしかいない。アフリカネーションズ杯による離脱がなければ、この記録はもう少し伸びただろう。

5位
【13-14】メディ・ベナティア
AIC(イタリアサッカー選手協会)が2011~2019年に発表していたベストイレブンに、ローマから唯一選出されたことのあるセンターバック(2014年)。13-14には伝説の開幕10連勝に大きく貢献しており、その間の失点はわずか1ゴールしか許していない。強烈だが乱暴すぎないチャージで相手FWとの対人戦を制し、3人抜きのゴールでも分かるようにテクニックもある。カバー型の相棒・カスタンとの補完性も抜群でパーフェクトに鉄壁を築きあげたほか、5得点と攻撃面での貢献もあった。
なお、リーグが20チーム制に戻った04-05以降で最少となる25失点でシーズンを乗り切った当時のローマだが、ベナティアが先発出場した32試合で喫したのは17失点だけ。1試合平均では0.53失点だ。

4位
【09-10】ミルコ・ヴチニッチ
公式戦全体で19得点・8アシストという数字はそれほど飛び抜けたものではないかもしれないが、それでも09-10のヴチニッチが絶大な存在感を放ったことに疑いはない。セリエAの第11節からは一度しか敗北せずにリーグ戦を終えたが、その期間中は25試合で22ゴールに直接関与してみせた。優勝していればリーグの年間最優秀選手はヴチニッチだった、とする声もあがっていた(デ・ロッシとの意見もあった)。
リーグ戦では先制弾が7回、同点弾が3回、勝ち越し弾が2回など、勝敗に影響しないゴールがほとんどなく、得点した試合では一度も負けなかった。優勝争いの相手だったインテル戦ではアウェイゲームでゴールを決め、優勝の可能性があった最終節にも先制点をマーク。第34節のローマダービーでは、過剰なヒートアップを理由に途中交代させられたトッティとデ・ロッシに代わってチームを牽引すると、自身の2得点で逆転勝利をたぐり寄せた。

3位
【17-18】アリソン・ベッカー
1年目の立場はシュチェスニーの控えでカップ戦要員だったものの、翌シーズンになると正GKに定着。シュートストップはワールドクラスの域に達しており、足もとの技術、守備範囲の広さでもチームを助け続けた。
また、ローマにとって偉業ともいえる、CLでのベスト4進出に最も多大な貢献をした選手といえるだろう。準決勝のリバプール戦で失点するまで、アトレティコやチェルシー、バルセロナと対戦しながら、ホームゲームでは全試合でクリーンシートを達成。グリーズマンやアザール、メッシ、スアレスをシャットアウトした。2018年にAICが発表したベストイレブンに名を連ね、GKとしてバロンドール受賞候補にノミネートされたローマ史上初の選手にもなった。

2位
【16-17】エディン・ジェコ
ボールの預けどころになりつつ、ボックス内では得点を量産。16-17のセリエAでは29ゴール、ELではベスト16で敗退しながらも8ゴールをあげて両大会の得点王に輝き、コッパ・イタリアを含めればアシストも二桁の大台に乗せた。リーグ戦におけるローマ史上最多勝ち点と最多得点の達成に非常に大きく寄与した選手だ。さらに、セリエAでも公式戦全体でも、単シーズンでは史上最も多くのゴールを記録した、歴史に名を残す点取り屋となっている。
在籍6年間における別シーズンのジェコ自身と比較すると、パス成功数は多いが、キーパス数やドリブル成功数は少なく、エアバトル勝利数は最少。また、ワンタッチゴールが25回、ツータッチでは8回と、戦術やチームメイトの質によるところもあるが、ポーチャー的な役回りに徹しやすかったことが窺える。

1位
【16-17】ラジャ・ナインゴラン
AICの年間ベストイレブンに4季連続で選ばれたナインゴランの、最大限に力を発揮したシーズンが16-17だ。前年も前々年もローマでMVP級の活躍を披露したが、それらと比較してもこの時期は格別だった。
スパレッティの就任を機にプレーエリアが高くなり、結果的には14得点・7アシストと得点に関与する働きが倍増。それでいて、持ち前の運動量でピッチを幅広くカバーすると、相変わらずの守備のうまさを活かしたボールハンターでもあった。そのほか、積極的なプレッシング、密集地でボールを扱える技術といった部分でもチームの助けとなり、弱点のない完全無欠なMFとしてあらゆる局面でプレーにかかわった。その上、1試合の休息を除いてすべての試合に出場した点も高い評価に値する。
なお、今回の10人を選ぶ際、ほかの候補者として頭に浮かんだのは、ピサーロ、カスタン、ジェルビーニョ、フロレンツィ、マノラス、ファシオ、スモーリング、ムヒタリアン、エイブラハムあたり。
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