カピターノフロレンツィについての考察
- ayasupo
- 2019年11月17日
- 読了時間: 8分
フロレンツィが苦しんでいる・・・
昨シーズンを最後にローマを去った二人の偉大なカピターノ
フランチェスコ・トッティとダニエレ・デ・ロッシ
悲しみと一部怒りも交えたダニエレのセレモニーが終わり、彼からアームバンドと共にローマの新たなカピターノの重責を継承したのがアレッサンドロ・フロレンツィだ
二人と同じローマっ子で、二人と同じように下部組織からトップチームに上り詰め、2度の十字靱帯断裂を乗り越えローマの為に走り続けてきたフロレンツィ
その彼が今ローマで試合に出られない状況が続いていると、シーズン開幕前に誰が想像できたであろうか?
プレシーズンや開幕当初はアームバンドを巻いてピッチに立っていたが、10月に入ると当初コラロフのバックアップ目当てで獲得したレオナルド・スピナッツォーラが右SBのスタメンの座を手中に収め、交代で起用される際もいまカピターノではなくダヴィデ・サントンをミステルフォンセカは選ぶ
振り返ってみて確かにフロレンツィがスタメンで出ていた時期、ローマの成績はパッとしない状況であった
ミステルの意図を消化しきれていない選手のプレイはピッチのあちらこちらで散見されたし、特に前線のプレスが緩く連動に欠け、フィルタリングが効いてない3列目の影響と相まって、アタッキングサードで相手に好き放題やられるシーンが多くみられた
”守備陣崩壊”
メディアにそう揶揄されている期間、当のフロレンツィのプレイはというと自分の中では可もなく不可もなくといった程度であったと記憶している
特別褒めたたえる内容が無かったと同時に試合の戦犯に挙げられたりという事はなく、ピッチで怠慢なプレイをしていたかと言えばそうとは言えないと思う
重い責任を伴うアームバンドを身に着け、ピッチを走り回り味方を鼓舞している姿を自分は記憶している
では何故フロレンツィの出場機会は無くなったのか?について少し考えてみたい
開幕前からミステルはフロレンツィをSBの選手とはみていないという発言をされていたと思う(うろ覚えでサーセン(笑))
ミステルフォンセカの中でサイドバックに要求するタスクは多く、攻撃では高い位置で組み立てや崩しに参加し裏抜けも狙う、一つの攻めの形の中心と言ってもいい役割だ
一方、ネガティブトランジションになった際、ボールホルダーに近ければファーストプレッシングを掛ける存在であり、逆サイドのSBはいち早く帰陣しDFとして相手のカウンターに備えての位置取りをしなければならない
現代サッカーではよくみられる要求であり、それをこなす為には多岐に渡っての能力が求められる
ミステルが総合的にみてフロレンツィに自らのチームでSBをこなす能力が無いと、試した上で判断したのであれば彼のおかれている状況は少々厳しい (かといってサントンより起用時の貢献度が劣るかと言われれば、首を傾げざるを得ないが・・)
それと同時によく問題視されるのが、フロレンツィの身長の低さ
対面する相手が長身である場合、競り合いで不利を被るシーンがあるのは避けられない
ただし、フロレンツィが今まで一方的にやられてきたかというとそうではなく、運動量とポジション取りでカバーをしてきた実績がある
相手に弱点とみられ毎試合のように狙い撃ちされるような事態を招いてはいなかったと個人的には考えている
それでもスピナ(190㎝)、サントン(187㎝)、コラロフ(187㎝)がスタメンを飾っている現状をみると、ミステルにとって”身長”という要素が選手選択時において比重が重いという事は事実と言えると思う
以上の2点から考慮すると、フロレンツィがSBとしてスタメン起用される為のハードルはやはり高く、状況を打開する為には攻撃面で決定的な貢献が出来る事を証明するか、更に怪我人が出ない事には3番手という立場を覆すのは難しいように思えるというのが結論だ
ではフロレンツィが現チームでどのポジションを担えるかという点を考察してみた結果、個人的な意見ではあるが下記の2つの案を提案してみたい
①インサイドハーフ
このポジションは彼がデビュー当初主戦場としていたエリアだ
適正ポジションを考えるうえで重要なのは、フロレンツィの強みは何か?という点
その問いに対する自分の中での回答を先ず述べてみる
・豊富な運動量
・攻撃時のポジショニング
・周囲との連携
・アーリークロスの精度
・意外性のあるプレイ
フロレンツィがデビューした時からずっと推していたので贔屓目があるとは思うが、個人的には上記5点を挙げてみた
(大怪我をする前はこれに加え相手を剥がす瞬間的加速力も備えていたと思っている)
上記の点を踏まえた上で考えた時の自分の中での現状ベストな起用法は、ベレトゥとのターンオーバーでの起用
この位置はそれほど高さが重要視されるポジションでは無く、持ち前の運動量を活かしベレトゥのように攻守に走り続けて貢献してくれるのではないかと思う
寄せの強度やロングパス精度はベレトゥに軍配が上がるが、それ以外の要素では同等かそれ以上の貢献を出来る可能性があり、フィットすればパス交換で中央を攻略するというオプションをもたらしてくれる可能性もあると思っている
その際に重要なのが他のメンバーの顔触れで、独特な自身の間でパスを繰り出すパー様より、より周囲が分かり易いパスを出すタイプのロッロの方が相性がいいと思う
左ウイングもジャスティンより連携力の高いミキ、右はザニ君にしているがここにパー様を起用してより中を意識した立ち回りでプレイさせたらそれはそれで面白いと思う
前で勝負させたいスピナのカバーも問題無く行えるフロレンツィのこの位置の起用は、コンバートするなら個人的に一番有りだと思う
(ベレトゥとの良質なターンオーバーを実現できそう)
②右ウイング
サイドバック移行前、リュディ・ガルシア先生時代に主戦場だったこのポジション
当時は深く切り込んでクロスを上げたり、中に切れ込んでミドルを狙ったりと、かなりオフェンシブなキャラだったと記憶している
彼をこの位置に置くメリットとしては、右サイドの攻撃(主にスピナの突破)の活性化が狙える点
サイドバックの勝手を心得たフロであれば、スピナと小気味良いシンプルなワンツーで抜け出しを助ける事が出来るのではないか?
勿論、スピナが上がった際のカバーリングの動きも問題無いだろうし、近くにロッロを置きクリスタンテやマンチーニをメディアーノに配置する事で、ポゼッションを高めての攻めも狙えると思う
ただし、このポジションに今のローマは得点力を何より求めているので、シュート精度の更なる向上が無いと独力で仕掛けるタイプではない分起用は厳しそうだ
とまぁ2つの案を示してみたが、フロ右SBでスピナ左SBでコラロフ兄貴を休ませるってのは、変わらず自分の中で全然アリだと思ってたり・・
相手をみたうえでミステルには試して欲しいと、多くのロマニスタと同様に私も願ってます
さて当記事のまとめとして最後にフロレンツィの移籍の可能性について考えてみたい
先ず大前提としてあやスポ個人としては移籍には大反対だし、あってはならないと考えています
つうか、自分のTwitter等各種アイコンをフロレンツィ一択でずっと使用していたぐらい、ローマではずっと推していた選手ですから!
(今季からアイコンは「今シーズン活躍して欲しい選手」でいこうと決め、今はロッロになってます)
その彼がカピターノになってこれからという時に移籍するのは余りに辛過ぎる、自分もフロレンツィも・・・
しかしそれでは考察にならないのでなるべく客観的に考えてみる
もし完全にミステル・フォンセカにとって構想外となっているなら、フロレンツィを放出し代わりに補強を行う事は他のクラブであれば間違いは無い
現状引く手数多の選手であり年齢が28歳という事を考えれば、最後の売り時と言っても過言では無い
売却した場合やトレード要員とした場合、相応の選手と入れ替える事は容易だと思われる
またフロレンツィ本人としても選手として一番成熟されるであろうこの年齢で、コンディションが悪い訳でもないのにここまで試合に出れない日々が続けば様々な事を考慮しても不思議ではない
(実際、アッズーリには召集され右SBとして試合にも先発出場、良好なパフォーマンスを披露した)
しかし、ことローマにおいてはそれは余りに受け入れ難く、伝統(アイデンティティ)の放棄に繋がり兼ねない大きな事案である
過去にローマっ子であるアルベルト・アクイラーニがクラブの資金難でリヴァプールへと移籍した際、本人は失意を表明しカピターノであったトッティはクラブを非難した
そして昨シーズン終了後、ローマは上層部の決断でそのトッティと後継者デ・ロッシ、掛け替えのない宝を同時に2つも失う事となった
更に今ここでデ・ロッシから後を託されたローマっ子の生え抜きカピターノ、フロレンツィを失ってしまっては、ローマは自らのクラブカラーをかなぐり捨て他のチームと違いの無いただ強さだけを追い求めるチームに成り下がってしまう・・・
それはとてもではないが個人的には受け入れ難く、心が張り裂けんばかりに苦しい
自分がローマを愛し、ローマを支持し、ローマと共に進み続ける為に最も重要な部分が欠落するからだ
愛するクラブが強くなるのは嬉しいし、どんどん強くなっていって欲しいと願っている
でも、クラブカラーを放棄してただ強さだけを追い求める事を支持するなら、もっと強いクラブを応援した方が手っ取り早い
自分で言っててクソ我儘だなと反省しきりだが、
それでも自分はローマのこのなんというか、不器用で反骨精神旺盛で、そしてたまらなく人間臭さが漂う感じが好きなんですよね
なのでやはりフロレンツィの移籍は容認できないですし、彼の一層の奮起とミステルがチャンスを与えてくれる事を願わずにはいられないです
フロレンツィの代わりにカピターノの重責を担ってくれているジェコも、
「フロレンツィは俺たちのカピターノだ、彼に心配はいらない、必ず強くなって戻って来る」
と言うてくれてます
自分もジェコの言葉を信じ、フロレンツィの帰還を待ち続けたいと思います
Il nostro capitano
Forza Ale!!
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