~機能しないフォンセカ采配~ 第23節アタランタ戦 マッチ分析
- しゅー
- 2020年2月19日
- 読了時間: 10分
⚠️この記事は私の個人ブログ「Directions〜サッカー戦術分析〜」の転載となります。ご了承ください。
髪の分け目を逆にしました。
どうも、しゅーです。
死ぬほど忙しかった自動車学校を無事卒業。本免試験も一発で合格し、見事穏やかな生活を取り戻すことに成功した2月中旬でございます。この時期の高校3年生(就職組)は本当にすることがなく、早朝に起きてサッカー観戦。終わったら10時まで寝て昼飯作り。そして夜までひたすらダラダラするという最低な生活を送っておりました。
そんな締まらない毎日の中に刺激を与えてくれるのが我らがASローマ。本当に刺激的な内容でしたね。
ということで今回は、第23節アタランタ戦のマッチ分析をしていきたいと思います。
それでは早速両チームのスタメンから見ていきましょう。
StartingMember

ローマはいつもの4-2-3-1ではなくCBのマンチーニをアンカーに据えた4-1-4-1を採用。右SBにブルーノ、左インサイドハーフ(IH)にはムヒタリアンを先発起用しました。
ディアワラの離脱後白星のないローマは、ついにフォーメーション変更を決断。相手が4位アタランタということもあり、今季のターニングポイントとなる試合となりました。
それでは試合を細く見ていきましょう。
洗練されたガスペリーニ戦術
それでは早速アタランタの戦い方から見ていきます。

まずは守備戦術から。図はローマCBのファシオがボールを持ちビルドアップを開始しようとしている場面を表しています。この時アタランタは、ボールホルダーに対し前から積極的にプレスをかけにいきます。それと同時にアタランタの他の選手はポジションのマッチアップやピッチ内の状況を見て、自分が見るべき相手は誰かを判断しマーキング。一度マークについた相手はどこまでも追いかけるという極端な「マンツーマン守備」を徹底。この守備戦術はガスペリーニ監督の常套手段で、その門下生であるイヴァン・ユリッチ(現エラスヴェローナ監督)もそれに似た守備を得意としています。

続いて攻撃戦術です。アタランタはビルドアップ時、少し特殊な形をとります。基本フォーメーションは3-4-1-2なのですが、ボールを保持するとディフェンシブハーフ(DH)がサイドに流れ4バック化。オフェンシブハーフ(OH)が元々DHがいたスペースにおりてくることで最終ラインと前線をつなぐリンクマンの役割を果たし、図のように常に三角形の頂点になるようにポジショニング。このような4-2-4のフォーメーションを作り出しローマゴールに迫りました。
徹底されたマンツーマン守備と再現性の高い攻撃パターン。就任から4シーズン目となるガスペリーニ監督が繰り出すこれらの戦術に、ローマは終始翻弄されることとなりました。
プレス耐性の欠如と孤軍奮闘

では、アタランタの徹底されたマンツーマン守備を前にローマはどのような対応をとったのでしょうか。ローマはいつものように、CBからパスを繋いでボールを保持していくポゼッションスタイル。しかしここにアタランタのハイプレスが襲います。皆様ご存知の通りローマは明らかにプレス耐性がありません。この試合でもそのプレス耐性の無さを発揮し、CBから前線へロングボールを蹴るしかないという状況になることが多くなっていました。
普通のポゼッションスタイルのチームならこうなった時点でもう打つ手がなくなることが多いのですが、ローマは違います。前線には我らがカピターノ(臨時)エディンジェコ様がいるのです。世界最高水準のポストプレーを得意とする彼は後方から送り込まれてくるロングボールを何度も収め、味方の攻め上がりを待ちました。ずっと待っていました。90分間、ずっと。ここで皆様には一度画面を閉じ、DAZNを開いていただきましょう。そして21:00のFKのシーンを見てください。これは誰が見ても「オイオイ...」となるシーンでしょう。
この他にも、流れの中でジェコが起点となりサポートを待つシーンがありました。しかしその時も上の図のように、両WGは裏を狙わない、中盤・DFラインは押し上げないということが多くあり、そこでセカンドボールを拾われボールを保持されるという試合展開になっていました。僕は「戦術語りますよ!」という立場なので、「気持ち」とか「根性」といった論理的でない言葉はなるべく使いたくないのですが、この状況を見ると「気持ちの問題じゃないかなぁ...」と言わざるを得ません。
終始アタランタのハイプレスに苦しんだローマ。しかしアタランタも人間です。90分間前線でのプレスを続けていたらすぐにガス欠してしまうためプレスをかけてこない時間帯もありました。その時はローマも敵陣まではボールを運べるのです。しかしそこからは、息の合わないコンビネーションやトラップミス、苦し紛れのクロスなどでボールロスト。前がかりになったところを突かれカウンターを喰らい、かえってピンチを迎えていました。これももはや戦術云々ではないような気もしますが、、、、どうでしょうか(笑)?
4-1-4-1システムの大きな穴

続いてアタランタのボール保持時の場面です。図は6:30のシーンを表しています。右サイドでボールを持ったアタランタは少し時間を置いてサイドチェンジ。この時既にDHはサイドに流れていたため、アタランタは元々サイドチェンジをするつもりで一度右サイドを使ったのではないかと推測できます。ローマの守備の仕方としては、前線から自分のマッチアップの敵にプレスをかけていくスタイルなので、DHにプレスをかけるべきなのはペッレグリーニです。しかしこの時ペッレグリーニはDHについて行かずフリーにしてしまいます。それによって右WGのクライファートもフリーのDHが気になってしまい、本来マッチアップであるはずのCBにもプレスをかけられなくなってしまいました。そしてその後ボールはOHへ。この時OHをマークするべきなのはアンカーであるマンチーニ。しかしこの直前にアタランタが一度右サイドに寄ったために、マンチーニの逆サイドへのスライドが遅れてしまったのです。
この試合のローマのようなアンカーシステムの場合、アンカーの横のスペース(アンカー脇)を狙われることが多く、このスペースをハードワークで埋められる選手をIHとして起用することが鉄板です。しかしこの日のローマIHはペッレグリーニムヒタリアン。明らかな攻撃タイプです。そのためアンカー脇のスペースを自由に使われ(特に右サイド)何度もチャンスを与えてしまいました。
そしてその後敵OHはブルーノペレスと対峙。その際、ペレスが出たスペースはCBであるスモーリングがカバーしスモーリングが出たスペースをアンカーであるマンチーニかCBファシオがカバーしなければいけないところでした。しかしそこもカバーしきれず、結局クロスを上げられてしまいました。
まとめ
なぜ主導権を握られたのか
・プレス耐性の欠如によるロングボール多用
→ジェコの孤立によってセカンドボールを拾われていた
・4バック化された敵に対してのプレッシングがハマらなかった
→4バックに対する守備戦術が徹底されていないor無い?
・最終ラインの守備の脆さ
→SB裏・CB間にできる広大なスペース
・アンカーシステムの穴
→中盤の守備の強度に問題
改善すべき点はどこか
・プレス耐性の無さ
→ポジショニング等、ビルドアップ時の約束事の徹底。(個々人の技術は一朝一夕では向上しない)
・相手の最終ラインに合わせたプレスのかけ方
→4バックならCF+WG +OH(IH)、3バックならCF +WG など
・守備時のスライド
→最終ラインのチャレンジアンドカバー(敵と対峙する選手とその後ろでカバーする選手の役割分担)
・中盤の守備と攻撃のバランス
→選手の特徴、相手の戦術の理解
⇒今のチームにあった戦術なのか?
本日のマッチ分析は以上になります。
本当に内容を読み取るのが難しい試合で、何回も見返しました。何回見返してもローマのやろうとしていることが読み取れず、4回目くらいで「これもしかして、読み取るほどの戦術ないんじゃねえか?」と思い執筆作業に入りました。そのため本当に内容の薄い記事になってしまい、自分でも納得のいかない文章になってしまいました。もはや公開すらしたくないのが本心ですが、継続することが大切だということで公開させていただきます。本当に申し訳ありません。
皆様はこの試合をどう見ましたか。記事の中のこのスペースは、ある程度噛み砕いた言葉で自分の思うことを正直に書いて良いスペースだと勝手に決めているので正直に言います。
私は、イライラしちゃいました。
ツイキャスをしながらリアルタイムで観ている時も、「この人たちは何がしたいんだろう」と雑談しながら感じていたのですが、本当に何回見てもわかりませんでした。正直、自分の力不足なところもあるとは思いますが、それにしても分からなすぎると。まず4-1-4-1へのフォーメーション変更。ディアワラ離脱の代役を務められるのがマンチーニしかいないというのは分かります。だったらなぜヴェレトゥとのWボランチにしなかったのか。ヴェレトゥがディアワラとペッレグリーニの間で動き回るからこそ、ディアワラがあの役割を果たすことができていたというのに。僕はこの試合のスタメンを見て「マンチーニ君!君、CBだよね?中盤の守備頼むよ!」とペッレグリーニとムヒタリアンが言い放って攻め上がっていく姿をマンチーニ視点で想像しました。その通りの試合でした。どうしたものか...。
あと、まとめに書いた「チームに合った戦術なのか?」について説明を加えたいと思います。 フォンセカ監督が志向しているサッカーは「ボールを保持するポゼッションサッカー」です。そこは皆さんもなんとなく分かっていると思います。ただ、それをやるにはパス、トラップの技術が無さすぎませんかということです。まとめにも書いたのですがビルドアップやポゼッションというのは選手にポジショニングやプレー原則を叩き込めばある程度は上手くいくものです。しかしそれを極めるとなると、トラップ作業からパス作業への移行のスピード、素早い状況判断が高いレベルで求められます。それを現有戦力でやろうとするには余りにも力が不足していると思います。ただこれはフォンセカ監督のサッカー哲学を否定しているわけではないということはハッキリと言いたいです。2019年の末にフォンセカローマが見せた攻撃戦術がヨーロッパ中に驚きを与えました。本当に誇らしいことでとても嬉しかったです。フォンセカ監督が名将である事は過去の実績から見ても明らかです。現有戦力ではフォンセカ監督の理想のサッカーができないことは恐らくわかっていると思います。今冬、バルサ育ちのカルレスペレスを筆頭とした若手軍団が加入し頻繁に試合に出ていることからも、フォンセカ監督が長期的なチーム作りを目指している事がわかります。おそらくローマは2、3年後には世界を驚かせるようなサッカーをするでしょう。ただ、目先の勝利を得るためにはジェコのポストプレーやクライファートのスピードなど、これまでの試合で通用してきた要素を中心にゲームを組み立て、確実に白星を稼いで行って欲しいです。
ロマニスタ歴の浅い18歳の若造が生意気なことを言ってしまいました。すみませんでした。とりあえず熱意だけ伝わってくれればいいのです。
いきなり話は変わりますが、この試合をリアルタイムで観戦している時に、実はツイキャス配信をしていたんです。初めてだから2、3人来てくれれば良いな~という気持ちで始めたのですが、思ったよりも多くの方にきていただきました。おしょうさんをはじめとするロマニスタの方々、戦術仲間の方々、本当にありがとうございました。
これからも積極的に配信の方をしていきたいと思っておりますので、気軽に入って来ていただけると嬉しいです!また、コラボキャスも楽しそうだなと思っているのでお誘いいただければ飛んで行きます!よろしくお願いします!
今週はヨーロッパリーグ決勝トーナメントも始まります。リーグの違う相手にフォンセカ監督がどのような戦い方をするのかを楽しみです!
では、Ci Sentiamo!!
Comments