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フォンセカローマの進化

  • 執筆者の写真: 酢ダコ
    酢ダコ
  • 2019年11月3日
  • 読了時間: 5分

どうもみなさん、酢ダコです。

ミラン戦、ウディネ戦勝利のおかげで気分がいいので、久しぶりに記事を書こうと思った次第です。(追記:ナポリ戦も見事な勝利でした。最高!いぇーい!)


毎シーズン怪我人に悩まされるローマですが、今シーズンは特にひどいですね。しかし、出場できるメンバーが限られているにもかかわらず、ここ数試合は安定したゲームができており、結果も悪くないです。(まともな主審ならもっと勝ててましたが。)


なぜ調子がいいのか?フォンセカの試行錯誤の過程を解き明かしていきます。


そして、怪我人が戻ってきたときのベストメンバーについても考えていきたい、、、のですが長くなりそうなので記事を分けます。


※酢ダコ個人の意見、偏見、妄想で構成されています。専門家が異なる見解を示しても「聞こえな~い」を発動します。



試合ごとに細かな修正・変更が見られましたが、大きく3つの時期に分けました。

ウクライナの地で確立したサッカー(詳しくは前の記事で解説しています)は、プレシーズンでは無敗と好調に見えました。しかしセリエAが開幕し、ボールスピード・球際の激しさが増すと通用しなくなりました。


当初のサッカーを簡潔に説明すると、ビルドアップはCBとCHで四角形を維持しながら行い、両SBが高い位置で幅をとるというものです。前線にパスが入れば人数は揃っているため攻撃力はありますが、とことんカウンターに弱いです。CBは両SBの空けたスペースを使われスピード勝負で負け、守備に不慣れなCHはすぐにかわされたりディフェンスラインに吸収され、ディレイできず多くのシュートチャンスを与えました。また、守備の重心が高く、前から全員がマンマークのような感じで、相手ディフェンスラインにも積極的にプレスしていたため、一度相手FWにパスを入れられると人数同数ですぐピンチ、という状況も多く見られました。


ジェノア戦ではロングボールを収められ3失点。ラツィオ戦では前線までボールが渡らず何度もショートカウンターを受け、運に助けられての引き分け。今思うとスモーリングの不在が大きいと考えられますが、フォンセカはラツィオ戦の惨状を経験して戦術変更に踏み切ったと語っています。


カウンターへのリスクマネジメントとしてビルドアップ時に右SBは上がらずコラロフを高めに置く3.5バックのような形に。右サイドは右SH(主にクライファート)がタッチライン際で幅をとります。前線からのハイプレスは抑えブロックを作りスタミナを確保、後ろの人数を担保することで被カウンターは減り失点も抑えられるようになりました。


一方、後方に5人が留まるため、守備の重心が低く中央を固めた相手(プロヴィンチャに多い)には、楔のパスを入れてもすぐに囲まれ奪われます。サイドに逃げても大外からのクロス以外に打ち手がありませんでした。クロスのターゲットとなれるのもジェコだけ。お互い失点しないということに重きが置かれ、観客としては退屈な試合展開が続きました。


ローマのSBの中ではコラロフが攻撃性能で頭一つ抜けており、それを最大限活かす代償として右SBは守備的に立ち回る必要性が生じ、自然と守備対応も増えました。フロレンツィは持ち味であるオーバーラップの機会が減り、地上戦・空中戦で守備レベルの低さを露呈するシーンが増えました。守備面でフロレンツィに劣らず、身長もあるスピナッツォーラ・サントンが右で起用されるようになります。


そんな中でペッレグリーニ、ディアワラ、クリスタンテが負傷離脱。CHの頭数が揃わなくなったローマ。他ポジションも含めて選択肢を失ったフォンセカは決断します。

誰も予想できなかったマンチーニのアンカー起用。これがハマります。


ビルドアップ時はマンチーニがCBの間に降りてきて3バックのような形に。両SBが高い位置をとれるようになりました。CBとして弱点はないものの、際立った特徴もなかった彼は攻守両面で活躍するようになります。攻撃では、安定したショートパス、屈強な体格を活かしたボールキープ、正確なロングフィード(ナポリ戦の先制点をお膳立て)。守備では、中盤における対人守備力、CB目線からなされる正確なポジショニング・カバーリング。被カウンター時には守備能力の高い3バックを形成することで、2CB時と比べてサイドカウンターにも対応できるようになりました。圧倒的な視野やエレガントさはないものの、デ・ロッシの抜けた穴をうまく埋めています。


ヴェレトゥとの相性も抜群です。守備の負担が減り、彼の特徴である行動範囲の広さと運動量が攻撃面でも活かしやすくなります。ナインゴランを彷彿とさせる、自陣からの持ち上がりを何度も見せてくれました。


そして、パストーレの覚醒(本来の輝きを取り戻した、という方が正しいかもしれません)。まず守備です。今までもサボっていたわけではないが、足を出さずポジショニングも悪いため、中盤で穴となっていました。しかし、最近ではポジショニングもよく、足も積極的に出し複数回のインターセプトを記録しています。次に攻撃です。ドリブルへの自信を取り戻しました。本人もそう語っています。独特なリズムと懐の深さで相手を寄せつけません。あんなに細いのにあのクリバリを背負っても顔色ひとつ変えずにキープする姿には感動しました。(ぼくもクリバリ背負ってみたい。)フォンセカマジックに違いありません。彼が深い位置でタメをつくれるようになったことで、SHとSBの上がりを利用した重層的な攻撃が増えました。単調なクロスとはおさらばです。


ローマの好調を自分なりに分析してみました。4-3-3(4-1-4-1)の信奉者ディフランチェスコが4-2-3-1に変更して立て直し、4-2-3-1の信奉者フォンセカが(攻撃時)4-1-4-1に変更して立て直したというのが興味深いですね。また、怪我人続出で生まれた奇跡のシステムという点がゼロトップと同様で面白いです。


しかし、胡坐をかいてはいけません。ここはセリエA。時間の経過とともにゼロトップも戦術家たちに対策されました。現システムが攻略されたとき、打開に必要なのは現在怪我でいない選手たちでしょう。彼らが戻ってきたときのベストな組み合わせを次回考えていきます。SBとしての立ち位置を失ったフロレンツィについても触れます。お楽しみに。

 
 
 

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